Impressions
イタリアの技巧派メロディック・メタル・バンド DGM の 5th アルバム。
傑作 3rd アルバム "Dreamland" にてプログレッシヴ・メタル・バンドとしてのハイライトを築きながら、前作(4th)では成熟した充実感を溢れさせながらもやや散漫な迷いを垣間見せた姿がちょっとした不安を覗かせていたが、本作にはその不安を見事に払拭し新たな領域に歩を進める勝負作と呼べる内容を封じ込めることに成功したようだ。
メンバーそれぞれの懐の幅広さを滲ませる柔軟な超絶テクニックを用いたプログレッシヴかつ劇的なサウンドが DGM の魅力だが、今回はその魅力的な手法 ――― SYMPHONY X, DREAM THEATER に通じるスリリングなテクニカル・プログ・エッセンス ――― はそのままに楽曲の作風をグッとスピーディかつストレートな方向に寄せていった印象で、#2 "Is Hell without Love", #5 "Pride", #6 "Amazing Journey", #8 "Perennial Quest" と4曲もの悶絶疾走チューンが怒涛の如く押し寄せる様は、これまでの彼らには希薄だった若々しい勢いの良さを感じさせている。
疾走曲で押すだけではなく、哀愁メロハー的とも言えるキャッチーな手触りの #3 "Through My Tears", #7 "A New Day's Coming"、そして希望的展開が感動を誘う大仰なバラード(後半のロック・ドライブもタマラン!!)#4 "Still Believe" といったメロウ・サイドの充実も嬉しく、全体的にこれまでになく楽曲の粒を揃えた結果、力強く響く「谷さん」こと Titta Tani (vo) の旨味ある熱唱とイタリア No.1 マエストロ Diego Reali の悶絶ネオ=クラシカル・プレイがこれまで以上に映える映える!
特に今回の Diego Reali のプレイは、ソロの入りッ端やファストプレイに縺れ込む瞬間の扇情フィーリングに神憑った何かを存在を想わせる、ここに来て吹っ切れた感のある強力な凄まじさで、その構築力たるや Johnny Öhlin 様 (DIONYSUS) に匹敵するかと錯覚を覚えるほど。いや~、イイッス。まさに悶絶。
前作でも目立っていた激テク・ベース・プレーヤ Andrea Arcangeli (CONCEPT のメンバーでもある!)の、楽曲のアンサンブル上非常に重要な要素としてランニングするベース・ラインも、よりもこなれてきた感じで自然に耳を捉えるね。何気にフレットレスもなかなか上手いし。
ボーナス・トラックとして収録された 日本のアニメ『北斗の拳』のオリジナルは CRYSTAL KING によるテーマ・ソング "愛をとりもどせ!!" の話題の日本語カヴァー #9 "You Wa Shock" は・・・ Titta Tani 以外が歌ってるパートが余りにもショボいが、当時の歌謡曲的いなたさ溢れるアレンジをほぼ忠実に再現した演奏とマッチしてはいるから、それもまぁ味っちゃあ味か。(苦笑)
(Dec. 22, 2004)