Impressions
すべてがそこから始まった衝撃のデビュー作 "Legendary Tales" 以来、本作の前哨盤として外伝的役目を果たした MCD "Rain of a Thousand Flames" まで4作に亘って繰り広げられてきた Emerald Sword Saga の最終章となる節目の一枚。
極限に高まりきった期待感を一瞬でさらなる高揚で包み込む荘厳なクワイアを配した "In Tenebris" にて幕を開ける本作は、まさにこれまでの集大成と言える恐るべき充実度。
より密度を増した大仰なオーケストレーションを纏って泣きそうに(ってゆーか歌詞読みながら熟聴してマジで泣いた/汗)勇壮なメロと共に邁進する楽曲は、"Knightrider of Doom", "Power of the Dragonflame", "Agony Is My Name", "The Pride of the Tyrant" といつもどおりのお約束な定型フォームに則った名曲に支配されながらも、"When Demons Awake" ではデス・ヴォイス寸前のエクストリーム風味を入れ込んでみたり "The March of the Swordmaster" ではメロウなトラッドな味わいを醸し出してみたりそこかしこでイタリア語のパートを前作以上に効果的なアクセントと大幅に導入してみたり(バラード "Lamento Eroico" は一曲まるごとイタリアーン!)と、ここに来て新しい試みを盛り込んだ斬新さが光る。
フレーズ一つ一つを取り出してみればこれまでの作品で近いものが既出している事実を感じ取る事ができるだろうが、本作ではそれぞれの曲中に絶妙な仕掛けを配置しその意外性のある展開は見事にマンネリを打破していると言えるだろうね。
そういった4~5分台中心にコンパクトにまとまったキャラ立ちの良い曲々を経て、ラストの 19分に及ぶドラマティックな一大歌劇 "Gargoyles, Angels of Darkness" でこの壮大な Emerald Sword Saga を締め括る・・・という構成のバランスも◎。相変わらず Fabio Lione の歌唱は底なしの凄さをまざまざと見せつけてるし。
唯一残念なのは Luca Turilli のあまりに引出しの少ないギター・パート。何かと言えば慌しく走り回る色気のない反復高速アルペジオで味付けしようとするそのセンスにはちょっと辟易してしまうなぁ。まぁこの RHAPSODY の音世界を創り上げている中心人物も紛れもなくその天才 Luca Turilli その人なんで、ギターの件は帳消しってことで。その弱点を補って余りある魅力に満ちているから悶絶しちゃうんだし!