Impressions
MOONSORROW / Verisakeet (2005)
フィンランドの Epic Heathen Viking Metal Band MOONSORROW の 4th アルバム。
5曲で71分という超大作に仕上がった本作は、特悶絶級の名作だった前作 "Kivenkantaja" の流れを汲む超ドラマティックな戦史絵巻の本筋に変わりは無かれど、その絵筆を壮麗なシンフォニック・ドライヴの高揚感から北欧プリミティヴ・ブラック特有の寒々しい荒涼感へと持ち替えたかの、やや硬質な肌触りになった印象だ。
最初一聴した時こそ、前作に比べるとやや淡白と思える抑え気味の展開とその尺の長さに冗長さを感じたものの、聴けば聴くほどにじわじわと効いてくる MOONSORROW 独特の情景的な味わいはやっぱり美味。喩えるならば、前作 "Kivenkantaja" は戦士自身の目線でリアルタイムな激情を描いた戦場日記、そして本作 "Verisakeet" は、雪を頂き聳える山々、精霊の住まう森や木々、そして冷たくそよぐ風とそれに乗って高らかに舞う鳥たちら自然そのものがマクロな視点で俯瞰した永き戦いの歴史・・・という感じかな。
確かに即効性は減退したけど、歌詞を追いながら(オフィシャル・サイトに英詞アリ)聴き進めるうちに、古の大自然への大いなる畏怖と共に生きる戦士達の死の行軍が目に浮かぶ雄大なドラマの凄絶な暗黒サウンド・トラックに、いつの間にか首までどっぷりですわ。今では、鳥のさえずりや無音が延々と続く“間”でさえも、至福の瞬間の連続に思えるほどだもんな。(盲目笑)
ちなみに、Fiddle,Jouhikko,Recorder 等を駆使して悶絶フォークロアな旋律美を塗布しているのは、僕らの Hittavainen (KORPIKLAANI) だよん。
(Mar. 15, 2005)