Impressions
米フロリダの若きメロディック・デス=コア・スラッシャー TRIVIUM の Roadrunner Records 移籍第一弾となる 2nd アルバム。
ピアノがメロウに響く美麗なイントロダクションを発射台として解き放たれるのは、渾身で叩き込まれるスラッシーなリズム/リフとハードコアな怒号が渦巻き、そこにのっぺりとしたクリーン・ヴォイスがしなだれるメロディックなサビメロが切り込む、まさに N.W.O.A.H.M.ド真ん中な激烈エクストリーム・メタル。
が、そんな中にあってこの TRIVIUM は、呆れる程に大胆にフィーチュアされたテクニカルな叙情ギター・ワークと80年代メタル的なコンパクトなポピュラリティを備えた楽曲の妙のおかげで、「キャッチーなメインストリーム・メタル」と思えるほどの独特の聴き易さを備えていると思えるね。
特に、バンドの中心人物の一人である1986年生まれ(!?)の日米ハーフ Matt Heafy (vo,g) とそのパートナー Corey Beaulieu (g) がこれでもかと弾き倒すダイナミックかつ繊細なギター・ワークは、IRON MAIDEN の構成思想と MEGADETH の展開理論を ARCH ENEMY 的なエモーショナルなアプローチで実践したかの充実っぷり。両者とも決してソロイスト・タイプではないものの、若さ故の勢いを備えた現代的なテクニックで奏でる意外にも欧州風なタッチのフォーマルな構築美は大きな魅力だ。
そんな魅惑のギター・パートが緊張感を漲らせる一方、楽曲自体の造りに往年のアメリカン・メタル的な耳馴染みの良さが滲んでいるのも面白く、#6 "A Gunshot to the Head of Trepidation" で聴けるいかにもライヴで盛り上がりそうなヘイ!ヘイ!の掛け声や #7 "Like Light to the Flies" でのキャッチーな後追いコーラスなどが醸し出すベタベタなキャッチーさには、他の同系バンドにはない大衆へのアピール力を感じるわ。
ただ、日本盤ボーナス含めて14曲と曲数が多い割に楽曲パターンが少なく、似たように感じる曲が多いのが少々難点。平均的には実に良く出来てるんだけど・・・。
(Apr. 13, 2005)