Impressions
このバンドのシンガー Rob Halford に冠された誇り高き称号「メタル・ゴッド」は、彼の歌唱やスタイル・・・そして恐れずに意見するならば彼個人のアーティストとしての能力に対して付与されたものではなく、かつて JUDAS PRIEST のフロントマンとしてメタル道を切り開いてきた「功績」そしてその功績が彼に与えた「カリズマ性」を称えるものだと思ってる。
だから、バンドに一人「メタル・ゴッド」が居るからといって Rob Halford 自身の歌唱そしてバンド HALFORD の生み出す音楽がヘヴィ・メタルを象徴していたり、ヘヴィ・メタルを代表していたり、ヘヴィ・メタルの真の姿だったり・・・なーんてことは微塵も思わないんだよね。「現代ヘヴィ・メタルの教科書」?「現代における正統 HM の在り方としては理想的」? へー、世間的にはそうなんや。ワシャそのあたりには疎いんでよぅワカランッス。(笑)
そんな「メタル・ゴッド Rob Halford 復権」を命題に掲げたやや意図的な作風だった 1st に続く 2nd アルバムとなる本作は、現代に生きる一メタル・バンド HALFORD としての正直な欲求を封じ込めた作品という印象。
ヘヴィ・メタルの何たるかを一瞬ではあるが具現化することに成功した JUDAS PRIEST のカリズマ・シンガーと、ソロ・キャリアもあるネオ=クラシカルもプレイもお任せな凄腕ギタリスト、そして叙情メタル・バンドで超絶な手数を披露していた怪物ドラマーを擁するというその夢のような布陣が含有する各キーワードが、勝手な連想&期待を誘うのとは裏腹なヘヴィネス指向のとりあえずメタリックなスタイルの楽曲は、基本的には退屈さを感じながらも、端々に散りばめられた上記メンツに期待する通りのパーツが生み出すメタルの醍醐味がそれを上手くカヴァーすることに何とか成功してるかも・・・ってななんとも複雑な出来。
・・・ってな嬉しさと残念さが交錯する微妙な気分に終止符を打ち、このアルバムを傑作たらしめてるのが、#4 "Betrayal" の存在! オレが Rob Halford 関連作品に求めるすべての要素を見事なまでにコンパクトにまとめ上げたこの名曲が収録されているだけでもう大満足っすわ。これでヘッドバングしすぎて絶命したいくらいに好みッス! もっと言っちゃえば、この曲を生み出したってことで HALFORD の天命が尽きても全然 OK みたいな。あ、#15 "In the Morning" も叙情的でいいねぇ。
つーわけで、かつての JUDAS PRIEST 黄金時代の名曲群を配した魅力的なショウを見せてくれるバンドが2つ存在するって幸せな時代に存在できた自分に Hail。