Impressions
HUBI MEISEL / Kailash (2006)
ジャーマン男前シンガー Hubi Meisel (ex-DREAMSCAPE) の 3rd アルバムは、チベットの山岳を舞台に青年とライオンが仏教世界を巡る旅路を描くストーリー・アルバム。
前作 "EmOcean" は“海”がテーマで今度は“山”・・・と地理条件(笑)が変われど、聴こえてくるのは前作とほぼ同路線の、Hubi の穏やかなマイルド歌唱がマターリしたプロッグ・グルーヴを生み出す雄大なスケールを持った煌びやかなランドスケープ・プログレッシヴ・メタル。
・・・なんだけど、本作は前作での長閑な退屈さが嘘のような聴き応えに満ちているのが驚き。楽曲自体は、シタールの音色などテーマに沿ったエスニック風味のフックも散見できつつも相変わらず比較的淡白なモノなんだけど、物語の起伏と同調するメタル・エッジの見せ場から漂う“バンド然”としたハードなヴァイヴが前作にない美味しさなんだよね。
その理由の一つがバック陣の充実かも。センスフルな空間彩色を司る Vivien Lalu (key/LALU)、悶絶スーパー・プレイを繰り出す Marcel Coenen (g/SUN CAGED) の常連に加えて、本作では MAGO DE OZ の叙情ソロイスト Jorge Salan (g)、プレーヤとしてもやっぱ一流の Daniel Flores (dr/MIND'S EYE etc.)、フレットレスの妙技をも見せ付ける Johan Niemann (b/THERION, MIND'S EYE) がジョイント。2曲のボーナス・トラックでは ARABESQUE, LALU の技巧派ギタリスト Joop Wolters も参加するという布陣は、ある意味最強とも思える贅沢っぷり。
そんなバック陣の充実に釣られるように、Hubi 自身のチョイ女々し系低体力歌唱にも自信&説得力漲るこれまでにないタフさが感じられる本作、紛れもなく彼のキャリアの代表作となるんだろうな。面目躍如の好盤。
(Apr. 13, 2006)