Impressions
イタリアン・メロディック・メタル・バンド HIGHLORD の 4th アルバムは、脂性な四十オヤジとしてはおまけの携帯クリーナが妙に嬉しい一枚。(笑)
作を重ねる毎に確実にクオリティを上げてきている彼らだが、Arise Records とのサインに成功した飛躍の一枚となろう本作でもその流れは継承されており、ギターとキーボードがバランスよく構築した楽曲の上で実力派シンガーが堂々と歌う正統的なヨーロピアン・メタルは、もはや円熟の境地に達しようとしているよう。
が、その反面、これまでの魅力でもあった XaMetalic な刺激は前作以上に控えめで、そういう意味ではこのマターリとした落ち着きは物足りなさを生んでいるかも。・・・って、もはやこの HIGHLORD はそういう期待をされるバンドではないだろうと勝手に思ってるんで、そのあたりはヨシとしますか。
ただ、そんななかなかの質に包まれたメロディックな欧州メタルを構築するセンスの中に、70~80年代のハード・ロックまでもを飲み込んだ意外な懐の深さを見せる一方、演奏/アレンジ等において充分安定しつつも端々に XaMetalic な拙さが残っているのは、やや残念と言えなくもないかも。Andrea Marchisio (vo / DESDEMONA) の歌唱も、充分に上手い部類ではあるんだけど、ずっと聴いてるとやや抑揚に欠ける気がするし。まぁ、これらは贅沢な不満なんだけどさ。
そんな中、Stefano Droetto (g) のへヴィでアグレッシヴなエッジを増したギター・サウンドに対峙するちょいナルな鍵盤奏者 Alessandro Muscio の働きだけは、相変わらず超ナイス。彼の醸し出すプログレッシヴなテイストが現在の…そして将来の HIGHLORD の鍵になるのは間違いないと確信させるほど、この耳は鍵盤パートを追いまくるのデス。
そして注目のボーナス・トラックは、前作同様 Stefano のアニヲタ趣味全開の、北斗の拳2の主題歌だった TOMCAT のカヴァー #9 "Tough Boy"。うーん・・・個人的には、当初候補に挙がってた CRYSTAL KING(って英文表記すると超メロスピちっくだな/笑)の "愛をとりもどせ" が聴きたかったなぁ。
(Apr. 26, 2004)