Impressions

PENDRAGON / Not of This World (2001)

投稿日: 2001/04/20

前作 "The Masquerade Overture" での、煌びやかでありつつもしっとりとした憧憬世界の圧倒的な密度が好印象だった大英帝国の寓話師 PENDRAGON 久々の作品は、その名盤であった前作の濃さを踏襲しつつ精神の小宇宙をより深く掘り下げた、現代叙情プログレという意味では CAMEL, MARILLION とタメを張る「大御所」の域に達した感のある逸品。
細かな気遣いを見せながら事ある毎に泣きで畳み掛ける演奏と、心の襞に訴えかける Nick Barrett の歌声は、暗黒を模索する絶望の果てにスーっと差し込む希望的な安堵の地平がカタルシスをもたらす PINK FLOYD 風の浮遊する情感を発散しまくり。現代叙情プログレのすべてが詰まった 3 部構成のタイトルトラック "Not of This World" と続くこれまた組曲 "World's End" は絶品だわ。
そして特筆すべきはそのプレイの質で、これがまた半端でなく上質。彼ならではの上下にオルタネイトするポルタメント系ポリシンセがスリリングな味を生む Clive Nolan は当然のことながら、歌とともに泣きまくりの英国調ギターを聴かせる Nick Barrett のプレイもいいね。そして意外にもバンドの生命線は Peter Gee のベースかも。淡々とした中でグルーヴの息吹を感じさせるそのボトムは、ついつい耳が惹き付けられる。
ここまで密度濃くて聴けば聴くほど新しい音が聴こえてくると、もうある意味トリップ・ミュージックだな。機会があったら、人気の少ない夕暮れの海辺とかでじっくりと楽しんでみたいデス。

満足度 : 87
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