Impressions
フランス産シンフォニック・メタル・バンド FANTASIA 改め FAIRYLAND のデビュー作。
バンド名そのもののファンタジックな世界観を見事に具現化した絢爛豪華なサウンド・スタイルは、現存するシンフォ・エピック・メトゥの中では間違いなく王者 RHAPSODY に最も肉薄する音像/クオリティを備えた上質極まりないもの。
イントロダクション #1 "And so Came the Storm" のいきなりのフルート攻撃の悶絶さに半笑いを誘われながら引き込まれる寓話世界は、これでもかと分厚くリフを形成するストリングス、その上で吹き鳴る笛の音、勇ましいクワイアが幾重にも織り込まれた超ドラマティックなもので、シンガーが 元 DARK MOOR の Elisa C. Martin ということもあって、まんま RHAPSODY meets DARK MOOR な風合いだわコリャ。
ピロピロギターの絶妙なダメダメ具合や鍵盤ソロ・パートのスクウェア・トーンの色合いまでが見事に RHAPSODY 的なのには、もはや「愛」以外の何者でもない純粋なモノをヒシヒシと感じマス。(苦笑)
ただし・・・この大仰なシンフォ・メタルってば、終始壮麗に響き渡り過ぎてメリハリに欠けるのと、DARK MOOR ん時の持ち味を全く出し切れていない Elisa 嬢の歌うメロディが印象に残りにくいため、全体出来には非常に平坦な印象。奥まった定位のクワイアの音程感が驚くほどに希薄で、メロディのバック・エンドとして機能していないのも痛い。
#5 "Fight for Your King", #8 "The Fellowship", #11 "Of Wars in Osyrhia", #12 "Guardian Stones" など、単体では決して出来の悪くない悶絶を誘う楽曲を一曲だけ取り出して聴けば「FAIRYLAND スゲーッ!」ってなるんだけど、一枚通して聴いて終わってみたら・・・何も残らない感じ。
ホントに質が高いだけに・・・そして期待が高かっただけに、落胆もデカかったッス。
(Mar. 20, 2003)