Impressions
BLOOD STAIN CHILD / Silence of Northern Hell (2002)
劇メロ伝道師、和田 "キャプテン" 誠 氏が自らの理念を貫くべく新設したレーベル、Captain Rock Records からの第一弾リリースが、この大阪の若き5人組 BLOOD STAIN CHILD。
ネオ=クラシカルなテクニカル・ギター&キーボードをゴージャスなオーケストレーションで包み込み、その上でブラッキーなデス・ヴォイスがギャアギャアと喚くドラマティックなアグレッションに満ちたシンフォニック・デス・メタルの様子は、KALMAH, THRONE OF CHAOS, NORTHER 同様に「CHILDREN OF BODOM タイプ」と形容できるもので、オーケストラ・ヒットとともに「ッギャッ!ッギャウ!」って合いの手入れちゃうとこなんて、普通の神経だったら恥ずかしくてボツだろコリャ!ってほどソレっぽい。
って、確かにその成りきり具合ったら物真似を通り越して泥棒の域にまで達しようとしているんだけれども、本作を聴いて得られるカタルシスの理由であるその優れた楽曲構築力には、確実に「BLOOD STAIN CHILD ならでは」って部分が感じられるのがいいね。
特に、切ないメロディが炸裂する #3 "Under the Sin of Grief" とキーボードソロ手前の一瞬のメジャー転調がカッコ良過ぎる #5 "Requiem" は、彼らのメロディック・プレイに対するセンスの良さが滲み出た秀逸の出来。前者は、もしライヴでコレ演ったらユニゾンでデス・ハーモニーをかましながら、2コーラスめからはバックのギター・メロに合わせてアルバムには入っていないクリーン・ヴォーカル・パートを追加させるべく歌いまくりたいって感じっすわ。
ただ、平坦で奥まった作りのサウンド・プロダクションは、明らかにマイナス。この BLOOD STAIN CHILD の個性ともいえる程に麗しくも煌びやかなオーケストレーションの音色選択のセンスは非常にイイんだけど、アタックタイムのカーブが緩やか過ぎるというか、オン・ベロシティの弱々しさがどうにももどかしいし、パタパタと鳴る迫力に欠けるドラムも聴いててちょっとシンドイ。ドラムに関しては録音状態の問題だけでなく、早いパッセージを多用した曲構成のバンドでは一瞬のリズムのヨレがそれまでの緊張感を台無しにすることもある・・・ってことを、ドラマー自身も録音テイクにOK出す人も共に肝に銘じて欲しいなぁ。
とはいえ、我が国からこのタイプのバンドがココまでの高いレベルで出現したことは非常に嬉しいッス。聴いてて全7曲がどうにも物足りないくらいだし。次作以降にもチョー期待!