Impressions
SPITZ (スピッツ) / スーベニア (2005)
ジャパニーズ・メランコリック・ロック・バンド SPITZ の2年4ヶ月ぶりとなる 11th アルバム。
"ハヤブサ" そして続く "三日月ロック" では止め処なく湧き出るメタリックともいえようロック魂のあからさまな吐露が顕著だったが、本作ではそのダークでワイルドな側面を一部の楽曲への反映に留め、あくまでポップ・ミュージックとして持ち前のセンチメンタルな郷愁を炸裂させた感のある「自然体」とも思える作風。
そんなバック・トゥ・ルーツなスタンスと 草野 マサムネ (vo) の反則哀愁ヴォイスのいつになくライトでクリアな伸びを見せる響き具合や何気に耳を捉えるシンフォニック・アレンジ(歌謡的なモノではあるけどね)の感触などからも感じ取れるここに来ての音像的な洗練のギャップの両者が想起させるのは、新ステップである次の10作期に向けて試行錯誤を恐れない凛々しい姿だ。
楽曲的にも、これまでのように心から自然に滲み出る SPITZ 節をそのまま封入したというよりは、現状のシーンに散らばる様々な要素を吸収~消化し、それを見事に SPITZ 色に染め上げたかの印象を受ける、ある種の「挑戦」を感じるモノが多いのが本作の特徴かも。
・・・ってな冷静っぽさを装ったイカニモな分析も、全編に漂う「腐っても SPITZ」な美味しい泣き虫センチメンタリズムの前ではホンの戯言に過ぎん!(苦笑) イントロから一撃必殺のいかにも SPITZ な名曲 #2 "ありふれた人生"、崎山 龍男 (dr) のドラム・セットを破壊せんが如きのブルータルなヒットがヘヴィにドライヴするロケンローの中に切なさを封じ込めた #3 "甘ったれクリーチャー"、そして命果てるまでヘドバン必至の SPITZ 史上最速の疾走パートを持つ #13 "みそか" などには、やっぱり涙枯れ果てるまで悶絶しちゃうんだから。
まぁ、前記の近作で感じられた内省的な陰鬱さが希薄なのがやや物足りないのは、紛れもない事実なんだけどね。。。
(Jan. 17, 2005)