Impressions
ORPHANED LAND / The Never Ending Way of ORwarriOR (2010)
イスラエルが生んだ「辺境メタルの星」ORPHANED LAND の4thアルバム。
前作 "Mabool" がメタル史上に燦然と輝く大々傑作だっただけに、計り知れない程に大きな期待と「あそこまでのモノは多分無理だろう」という諦めが共に渦巻く状態でリリースの日を迎えたが、初聴した印象はそのどちらの感情にも当て嵌まるものだった。
終始多様な表情を見せ続けるオリジナリティ溢れるエスニック/オリエンタル・メタルが思慮深く佇むその軸足の位置に些かの変化もないが、Steven Wilson (PORCUPINE TREE) をプロデュースに迎えたという先入観抜きにも感じ取れる全編を覆うマイルドな洗練が、緩やかな“違和感”を沸き立たせる・・・が、その一方でやはり、ただ単に「メタルに民族音楽のフレーズを採り入れた」のではなく「歴史を語る民族音楽をメタリックに昇華させた」のだとの推理を生む本物のフォーク・マインドがプログレッシブに舞い踊る様の前には、悶え死ぬ寸前の至高の高揚感を得られるのもまた事実。確かに、初期のエグいアクの強さは前作以上に減少したけど、メロウな旨味を生かした壮大なドラマ性がそれに十分に取って代わる魅力として全編を支配しているですよ。
また本作では、Yossi Sa'aron Sassi & Matti Svatitzki のギター・チームによるメロディック・プレイのフィーチュア度の非常な高さが耳を惹くのも嬉しく、#2 "From Broken Vessels", #9 "Disciples of the Sacred Oath II" をはじめ多くの曲で聴ける泣っき泣きの名演はもちろん、大曲群の合間に挿入される小曲などで爪弾かれるアコースティック・ギターの妙味にも涙腺が緩む。
まぁただ 、"Mabool" という一つの「高すぎる基準」と比べてしまうと・・・やっぱ・・・ね。もし "Mabool" の存在なしに本作が出てたら、確実に90点台後半なんだけどな。