Impressions
MASTERMIND / The Way I Go (2001)
日本産メロディック・パワー・メタル・バンド MASTERMIND
の 2nd アルバムである本作は、待望のメジャー配給を実現した作品とあって彼らにとっては正に試金石となる一枚。
闇を切り裂く光線を目に浮かばせる Norio Sato の押しの強いハイ=トーン・ヴォーカルを主軸に、Yoshiya Sato & Yoshiyuki Watarai によるネオ=クラシカル&テクニカルなギター・コンビネーションに彩られたその欧州型疾走ネオ=メロディック・パワー・メタル・サウンドは、THE STORYTELLER, NOSTRADAMEUS, STEEL ATACK, CRYSTAL EYES, CUSTARD らの本家と比較しても全く遜色の無いもので、特にラウドに突進する Naoyuki Hasegawa & Shinichi Kojima の強力なリズム隊と秀逸なプロダクション(特にリズム・ギターの!)が生む高揚感に於いては、それらを遥かに凌駕する感触だ。
ほんの味付け程度にキーボードや女声ボーカルによる演出を見せながらも硬質に疾走するヘヴィ・メタルは、なかなかに絶妙な曲作りによって思わずヘッドバンギングを誘われる名曲レベルの物も多く、一部の楽曲で見られるポップでキャッチーなエッセンスについても、これまで多くの J-METAL バンドが繰り返してきた「ポップへの色気が導く妙な不統一感」を感じさせない良質な魅力として有効に機能した楽曲の出来は結構イイ感じ。
とはいえ、身近なバンドだけに気になる点も幾つか目立つ。どの母音で終る音節でも徐々にイ行に移行して細かなヴィブラートを掛けるクセのあるヴォーカルと、そこそこ弾けるはずなのにフレーズによっては非常にたどたどしいプレイでその不得意さを表層にあらわすギター、そして切り貼り感漂う全体からやや浮き気味のそのリード・ギター・トラック・・・と相変わらず自国の同胞バンドには厳しいね。自分の事は棚に上げやがって。(苦笑) でもまぁこのあたりは好みの範疇なのかもね。事実、聴いてるとその懸案点を上回る曲の良さによって気持ちよく乗れるし。
しかーし、各メンバーに付けられた「愛称」だけは即刻なんとかしたほうがイイと思うよ。狙いと思われる親しみ易さは残念ながら一切皆無で、彼らがターゲットとしている洋楽メタル・ファンにとっては寒さ&痛さのみが直撃するはず。なにより、その本格派サウンドと今の愛称って、めっちゃバランス悪いって。