そのバンド名、ジャケット、女性シンガーを含むメンバー構成などから「幽玄な感じのゴシック/デスかな」と思い購入したが、完全に予想を裏切られた。ところが「裏切られた」と言っても「損した」ではない。なぜならこのアルバムが素晴らしい内容を誇っていたからだ。
荘厳なキーボードにテクニカルな泣きの様式フレーズを奏でるギターが絡む、意外にも躍動感ある曲。 NIGHTWISH が NIGHTWISH たる特質は、そこにクラシック声楽丸出しのソプラノボイスが加わる点だ。その歌唱テクニックに一点の疑問も無いTarja の美しい歌声によって、ゴシック的な暗く美しい曲はもちろん、オーセンティックなHRタイプのリフのはっきりした曲でも圧倒的に幻想的な浮遊感を実現している。
NIGHTWISH の醸し出す北欧の哀愁・美しさ・悲壮なまでの荒涼感は、他では聴けない独自のものであると断言できるが、あえて比較対照を挙げるとすれば BLACK SABBATH の名盤 "Headless Cross" あたりだろう。