Impressions
STEVEN ANDERSON / Gypsy Power (1994)
投稿日: 1998/07/01
Mike Varney が仕掛けた一連の Shrapnel 系がネオ=クラシカル・ギター・インストの名作を数多く出しているが、時折そのルート外でも逸品が発見されることがある。このスウェーデン発の STEVEN ANDERSON がまさにそれ。
独特の豊潤な音色が織り成す哀しみ色の北欧様式美の世界は、そのアルバムタイトルに引用された「Gypsy」をどことなく想起させるエスニックな感触をも得ることが出来る。
彼のプレイは必要以上に音数を詰め込もうとしない分、一音一音に込められた精魂を感じさせる名人芸。かといって激弾きがヤバい分けではなく、スローパートと変わらぬ凄まじいエモーションを放つほど。
顔が歪むほどの泣きをこれでもかと堪能できる "The Child Within" も絶品だが、本作のハイライト "Gipsy Fly" で聴ける、エスニックなメインテーマでの一糸乱れぬ16分の刻みからエモーション溢れるペンタトニック主体のアドリブソロへ展開し、それがやがて絶頂を迎えると共にすかさず切り込んでくるオクターブハーモニーで奏でられる超哀愁フレーズの一連の流れは、何度聴いても「あ゛ーーッ!これだよナッ!」と独り言を叫びながら感涙にむせんでしまうんだな。
(1998/07/01:記)
満足度 : 90%