Impressions

WITHOUT WARNING / Step Beyond (1998)

投稿日: 1998/07/20

おぉ、まさに「テクニカル・ロック」! しかも「テクニカル」は単なる形容で「ロック」の部分こそがこの WITHOUT WARNING の3作目となる "Step Beyond" の本質を物語る唯一の言葉だ。

なによりシンガー Jack Bielata の、ともすると人間味を失いがちなハイトーンではないハスキーな声質を生かした「最初に歌ありき」の姿勢で楽曲を組み上げていく姿勢が、多くの類型的なプログレ・メタルバンドとの決定的な違いだろう。

その「歌」を盛り立てんとする70年代風のインストバトルがこれまた失禁寸前。可能な限りオーバーダブを排除し、生々しく剥き出しになったギター/ベース/ドラム/キーボード、そして主役である歌の5つのピースが、持てるテク&センスを駆使して表現する凝ったアレンジのキャッチーな楽曲は、どこかしらアメリカ的な大らかな空気の臭いを感じさせつつも例えようのないほどにスリリング。

ギタリスト Ted Burger の、寸分の無駄もなく見事に構成されつつもエネルギッシュな、文句の付けようがないギターフレーズも聴き所。前作と続いて起用の Alex Perialas による生々しくも繊細なミックスも◎だしね。

メンバーチェンジとは無縁の、5人のバッファロー出身テクニカル職人たちの結束&意地&魂を封じ込めた力作だ。

満足度 : 88
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