Impressions
GRAND ALCHEMIST / Intervening Coma-Celebration (2002)
注目を集めつつある新興レーベル SOUND RIOT が放つ、ノルウェーのシンフォニック・ブラック・メタルの新鋭。
先人たちの長所を消化しながら、20代前半の若者らしからぬ深みある演奏で畳み掛けるように壮麗なシンフォ攻撃を仕掛ける様は圧巻の一言。
冒頭のイントロダクション #1 "Faced (Intro)" のアルペジオの泣きの風格からして「コイツラは違う!」と思わせてスタートする本作は、ポップさすら感じさせるドラマティック・チューン #5 "Approach (Open the Shell)"、ヘヴィなエスニック風味が独特なタイトル・トラック #6 "Intervening Coma-Celebration"、ブリッジのギター・ハーモニーに悶絶を禁じ得ない #8 "Psyche and a Flower to the New Lifetime"、そしてピアノが醸し出す極限の慟哭が「もしや今後 EMBRACED に迫るバンドに成長するのかも・・・」という期待を抱かせる #12 "Snap Up the Raw of Existence"・・・と、普通声の印象的なコーラスを入れてみたり、ストリングス系だけでなくいわゆる「フィンランド系ノリノリ耽美ゴシック」に通じるポップな音色を取り入れてみたりと貪欲に実験しながらメランコリーを演出するゴージャスな音像でありながら、ブラック・メタルたる攻撃性も充分に残しているのも素晴らしい。
ただ、緻密というよりは「詰め込み過ぎ」の印象を受けるのも確かで、楽曲の輪郭がぼやけてしまって曲単位というよりはパーツ単位の印象に留まってしまっている感もある。そのためムードは満点ながら聴き終えた印象は意外と散漫だったりするんだよね。まぁそのあたりはこれからの課題なんだろうな。
なんにしろ、今後に超期待の新星が登場!・・・というのは紛れもない事実で、特にギター、ヴォーカル、キーボードを担当し、ほぼ全曲の作詞/作曲を手掛ける Sigurd なる22才のヲトコ・・・只者じゃないッス。