Impressions
CRADLE OF FILTH / Nymphetamine (2004)
英国産シンフォニック・ヴァンパイア・ブラック・メタル・バンド CRADLE OF FILTH の、ROADRUNNER RECORDS 移籍第一弾となる 6th アルバム。
事前に聞いていた本作に対する「Not bombastic」やら「Simple & Straight」やらという表現に一抹の不安を抱いていたが、ここ数作と同じ印象のシアトリカルなイントロダクション #1 "Satyriasis" から急転直下するプリミティヴなスラッシュ・チューン #2 "Gilded Cunt"(なんちゅー曲名ぢゃ!/汗)から始まるダイレクトでコアな作風には、確かに一瞬たじろがされたッス。
が、それも一瞬のこと。"Cruelty and the Beast" から "Midian" を経て "Damnation and a Day" で極まった感のある壮大なゴージャス路線に漂っていたエンターテインメント感を意図的に抑え、CRADLE OF FILTH のシンフォニックで映画的な要素ではない骨格たる魅力・・・邪悪な背徳の迸りをフィーチュアした「剥き出しの CRADLE OF FILTH」の姿は、十分にこれはこれでアリだと思えるカッコ良さだった!
ヘヴィ・メタルとしてのアグレッションに焦点を当てるがために贅肉を削ぎ落とそうとも、その贅肉に確かに存在していた魅力的なエッセンスをしっかりと筋肉や骨髄に移填したかの「ダイエット成功例」の如き佇まいが実に凛々しい。装飾に頼らなくとも、暴虐さに潜む貴族的なロマンティシズムや前作から生まれたエモーショナルなレトロ・グルーヴとそれに伴うキャッチーなヴァイヴをしっかりと息衝かせていたり、これまで以上と思えるほどのメロディックなエネルギーを楽曲の芯から噴出させているのがなんとも逞しい限りッスわ。
元 THEATRE OF TRAGEDY、現 LEAVE'S EYES の暗黒歌姫 Liv Kristine Espenaes Krull 嬢が儚い美声を響かせる萌え萌えな耽美ゴシック・パートを挟み込んだ大作 #6 "Nymphetamine Overdose" に完全にノックアウトされつつ、「これで前作までと同様のシンフォニックさだったらマジ無敵なんだけどナァ…」と贅沢な思いを馳せてしまうのも正直なところではあるんだけどね・・・。
(Sep. 26, 2004)