Impressions
フレンチ正統メタル型メロディック・デス・メタル・バンド・・・だったはずの YYRKOON の 3rd アルバムは、ここに来ての大幅なスタイル・チェンジが驚きを誘う一枚。
80's スラッシュ meets モダン北欧エクストリームというメロディック感漂う音像の中でスラッシーな濁声を押しのけて主張するクリアな普通声が印象的だった前作から一転、本作ではその正統メタル風味を脇役に降板させ、超絶なブラストとヴォエヴォエ Low ヴォイスが荒れ狂う様を大胆にフィーチュアしたテクニカル・ブルータル・ブラックという作風にチャレンジだ。
イントロに続く #2 "Doctor X" が一度もクリーン・ヴォイスが登場することなく終わった時点ではその変わり様に愕然とした・・・が、シンガー兼任ギタリスト Stephane Souteryrand がピンポイントで乱舞させるエモーショナルなテクニカル・ギターのフラッシーな輝きと助っ人ドラマー Dirk Verbeuren (SCARVE, SOILWOR) の常人離れした手足技をはじめとするハイ・レベルなテクニックに支えられた、ハイパーでありつつ地に足の着いたアグレッションがメッチャ心地よく、初聴時の心情の移り変わりは「ありゃりゃ? → あぁ、残念… → ん?まてよ? → おぉ、なかなかイイぢゃん♪ → スゲーーーーーーーーー!!」ってな感じ。(笑)
そうして聴いていると、今回脇役となった正統メタル風味が緩急の糧として機能しているそのバランスは実に絶妙な気がするし、所々に配された質の高い S.E. とシンフォ系を本職にしてるバンド真っ青の上質さを誇る悶絶オーケストレーションに見事にサポートされたブルータリティが超クリアなプロダクションで迫ってくる様の美味しさが新鮮に新たな味わいとして広がってくる。
あ、そうそう、ダークに蠢くテクニカル・リックに、ふと HEXENHAUS っぽさを感じた瞬間もあったわ。
(Nov. 20, 2004)