Impressions
うーん、期待し過ぎだったのでしょうか。(涙) 残念ながら聴き終わって印象に残るのは、シンガー Lana Lane の艶やかで力強い声色/巧さと、Tony Franklin の弾き出すフレーズの超絶な存在感のみって感じ。
今まで以上に濃密に構築されたシンセ・ストリングスと泣き系ギター・ハーモニーによるシンフォニック・アレンジは、満腹必至のゴージャスさで聴き手に迫って来るが、肝心のそのシンフォ・アレンジが、バッキングの装飾においては大きく貢献しているものの場面転換のダイナミズムの源として機能していないために、楽曲の起伏が稀薄で面白味の無い物になってしまっている。
また、収録曲の方向性のバラツキも気にかかる。 "Curious Goods" や "Ballad Collection" の様にプログレ的浮遊感に浸るには HR 的な俗っぽさが邪魔だし、"Loveis an Illusion" 的なキャッチーな HR としては間延びした部分が多い。前作 "Garden of the Moon" では見事に構成されていたんだけどな。
・・・ってごちゃごちゃと書いてしまいましたが、要はこれまでの作品には必ず1曲は入っていた、突出したメロディを持った「キラー・チューン」が皆無なのが一番の敗因じゃないかな。メロウに責める "Seasons End", "Without You" などは確かに心地良く響くんだけど、惜しいところで「まぁまぁ」の域を出ていないし。憂いが咽び泣く導入部からFAIR WARNING 的な開放メロディに展開する佳曲 "Let Heaven In" が無かったらヤバかったね。(99/02/21)
満足度 : 80%