Impressions

SILENTIUM / Seducia (2006)

投稿日: 2006/03/20

フィンランドのゴシック・メタル・バンド SILENTIUM の Dynamic Arts Records 移籍第一弾となる 4th アルバム。

前作 "Sufferion - Hamartia of Prudence" は多彩な要素を封じ込めたシアトリカルな一大コンセプト・アルバムだったが、本作で現れたのは、その前作で培った懐の広さを踏まえた上で SILENTIUM 旧来の「正しいゴシック・メタル」姿を見つめ直したかの、暗くてロマンティックで耽美で・・・でも程よくモダンな「ネオ王道ゴシック・メタル」の姿。

新たな女性シンガー Riina Rinkinen 嬢のリラックスしたクリアな歌唱とエキセントリックにアグレッションを噴射する男声ヴォーカルが絡み合いながらドラマティックに展開する楽曲は、垢抜けた上質オーケストレーションとメタル・リフが対峙するダイナミクスの中でピアノ&弦楽が「これぞゴシック・メタル」たる悲哀を遠慮なく放ちまくりで、その繊細なアレンジのプロフェッショナルな質の高さに驚かされるばかり。

まさに王道な #1 "Hangman's Lullaby", #3 "Dead Silent"、穏やかな空気の中で清閑な泣きが悲しく漂う #4 "Unbroken"AFTER FOREVER ばりの快活なシンフォニック・メタル風味を持った #5 "Frostnight", #7 "Empress of the Dark"、そしてクラシカルなプログレ展開にクラクラしちゃうラストの大作タイトルトラック #8 "Seducia"・・・と、佳曲が並ぶ全体の調和の取れたバランスも極めて良好。

正直それほど期待してなかっただけに(汗)この予想外の充実っぷりは超嬉しいですわ。
 (Mar. 14, 2006)

満足度 : 87
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