Impressions
Spikefarm に所属するフィンランドの男声ゴシック・メタル・バンド RAPTURE の 3rd アルバム です。
初期 KATATONIA や全盛期の PARADISE LOST を思わせるダークなメランコリック・メタルのスタイルこそ前作までの延長線上にあるものですが、本作では楽曲、プレイ、プロダクションともに格段に成長したかのようです。前作までのクオリティの高さよりも類型的であることの負の印象が嘘のような、何かに吹っ切れたような堂々たる音像には驚かされます。
ダークな絶望感を発散すると同時にキャッチーにドライヴしたりする楽曲を主導する2本のギターが紡ぐエモーショナルな旋律美、そしてセンシティヴなクリーン・ヴォイスと交錯するディープなデス・ヴォイスが塗布する近年のこの手のバンドにしては異例の暗黒色という両要素の強調が、モノトーンな哀感の中にこの RAPTURE の独自の色感を生み始めている感じと言えるかもしれません。
・・・ですが、そんな風にムードが最高潮に達したと思えるからこそ、現時点でも十分に水準以上と確信できつつもふと耳を通り過ぎてしまう瞬間がないとは言い切れない楽曲にもうひと踏ん張りして欲しい・・・という気持ちが沸き起こるのも事実なのですよ。と言いつつも、このまま順当に進めば数年後にはカナリの名盤を作りそうなので、その時を楽しみに待つとしましょうか。
ちなみに、ドラマー Samu Ruotsalainen は FINNTROLL で Beast Dominator と私的には他人事ではない名を名乗っているその人です。
(Mar. 26, 2005)
満足度 : 80%