Impressions
KING DIAMOND / Abigail (1987)
最初に謝っておきます。KING DIAMOND、特に本作 "Abigail" と次作 "Them" に関しては、余りにも気に入り過ぎているので文章がおかしかったり内容が片寄り過ぎだったりしますがご容赦下さい。(^_^;)
とにかくスゲー! 黙って聴け! (`o)/
って感じ。おわり。
・・・ではなくてぇ。(のっけからやってしまった。)
MERCYFUL FATE のそのドラマティックな美しき暗黒世界に完全に囚われてしまった私だが、その MERCYFUL FATE は残念な事に大傑作 "Don't Break the Oath" を最後に、来るべき栄光のピーク直前にして分裂・解散してしまう。当時その一報を受け取ったときは、この世のものとは思えぬ悲劇に打ちひしがれてしまったものだ。
しかぁーし! その悲劇なくしてはこの素晴らしき「人生の一枚」"Abigail"には出会う事が出来なかったのである。ここは「災い転じて福となす」と詠った古人に深く感謝せねばなるまい。
プロローグ的なミニアルバム "No Present for Christmass" ではクリスマスソングをパロった企画曲とともに先行曲"Charon"で、MERCYFUL FATE とは幾分趣を異にしたスマートなHMの片鱗を覗かせていたが、その後リリースとなった "Fatal Potrait" では、デビューアルバムにして KING DIAMOND としての個性をすでに確立していた。
一部の曲で導入されたコンセプト仕立て、ダークでオカルティックな内容、そしてそれを包み込む、しっかりとした起承転結のある曲構成とクリアで明瞭な現代的音作りが「北欧の美」を際立たせている。
そして2ndである本作 "Abigail" の登場だ。ホラー仕立てのストーリーが軸になっているが、それはどうでもいい。(Kingの物語はどれも陳腐極まりないのだ!)
大仰な展開、疾走するツインギター、スリリングな変拍子、タイトで重量感のあるリズム、全編を覆い尽くす水晶の如くきらめく北欧のメロディ、クリアでハイクオリティなサウンド・・・ あ゛~~~ッ!!気が狂いそうに素晴らしい! そこに存在しないのは「普通の歌声」だけだ。 かといってここに正統派の巧いシンガーが加わっても、この「味」は絶対に出ないだろう。King Diamond の常軌を逸した狂気が楽曲の内包する美を増幅しているのだ。
バンド KING DIAMOND は、そのメンバーの充実も見逃せない。
屋台骨である Mickey Dee の、その面白いほどに「決まる」ビートは、信じられぬほどの躍動感を生む。疾走感を決して殺さぬ変則リズムでの拍の構成センスもピカイチだ!(彼の実力は現在在籍する MOTORHEAD でも実証済みだろう) そしてメロディの要、Andy LaRocque! その類い稀なる様式センスは、曲中で頻繁に行われる哀しく、美しく、クラシカルな印象的フレーズによる場面転換で存分に発揮されている。
続く次作 "Them" も本作と同路線のドラマティックな KING DIAMOND 節が炸裂、そしてその "Them" の続編に当たる "Conspiracy" でも、作り自体はコンパクトになったものの、全体的なクオリティはアップしていて、この2枚は本作と併せて必聴。