Impressions
DARK LUNACY / Devoid (2001)
投稿日: 2001/05/20
サッカーとハムの町(笑)パルマからのイタリアン耽美派デスの使者 DARK LUNACY が放つこのデビュー作は、これまでありそうでなかった「室内楽デス」の金字塔。
何は無くとも、全編で鳴り響くヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロで構成されるウルウルの弦楽四重奏が、もう全く持ってタマらなくもタマらない!
弦の震えが欧州の歴史を伝える「生」の持つ凄みは、最近のシンフォ・デスでその傾向が強い「シンセバリバリのゴージャスな壮麗さ」にはない、独特の悲壮感に包まれまくり。室内楽の調べに纏わりつく、哀しみのアコーディオンや可憐な女声ソプラノ、混声合唱団などの叙情アイテムの導入センスもかなりナイス。
そのストリングス・セクションの充実から得られる満足感も、堅固たる骨格に支えられたメタル・パートの充実があってこそ。この DARK LUNACY は、この手のバンドには珍しく、そのあたりが非常にしっかりとしているのが強いな。シンガー Mike Lunacy(芸名がちょっとイタいが/苦笑)の猛虎の咆哮の如きビースト・グロウル、そしてなかなかの実力の保持を伺わせるドラマー Baijkal の安定した決まりのいいドラミングを始めとする不安要素のない上質な演奏で爆発するそのメタル・パートは、PARADOX, DESPAIR 的な 80's ユーロ・スラッシュ風味も覗かせながら、実に見事に弦楽カルテットと融合して泣き泣きのドラマを創り出すことに成功している。
ロシア民謡をモチーフにした "Forlorn" の勇壮なる激情は、暗黒系史上に輝くインパクトといっても過言ではないと思ふよー。
満足度 : 88%