Impressions
BLACK SABBATH / Heaven and Hell (1980)
私は今でこそ「真の BLACK SABBATH といえば Ozzy Osbourne 時代だ」と主張しているが、初めて本格的に接したアルバムは本作だ。理由は簡単。「Ronnie James Dioが入ったから」。
発売を前にしてラジオで"Neon Knights""Children of the Sea"を聴いた瞬間に完全にノックアウトされてしまった。それまでの私の中での BLACK SABBATH のイメージは「Ozzy なんとかっていう奇人が変な曲に合わせて甲高い声で歌うバンド」だったが、スピーカーから流れてきたのはヘヴィなリフに暗く美しいメロディが乗ったあくまで正統的なハードロックだったのである。そして発売と同時にアルバムを購入・・・凄い! ラジオで聞いていた2曲はもちろんのこと、ドラマティックな展開を見せるタイトルトラック"Heaven & Hell"、様式を撒き散らしながら疾走する"Die Young"・・・と全曲捨て曲無しの内容に卒倒しそうになった。このアルバムでは Ronnie の持ち込んだ中世の香りが BLACK SABBATH 独自の魅力である邪悪な暗黒イメージと見事にブレンドされ、これ以上ないほどの「背徳の美」を体現している。
そしてこのアルバムを携えた初の来日公演、高校をサボって大阪フェスティバルホールまで足を運び・・・そして驚愕した。Ozzy Osbourne 時代の曲がカッコイイのだ! この日を境に、私の中で BLACK SABBATH は「大好きな Ronnie の居るバンド」から「大好きなバンド」になった。そしてこのアルバムで彼らと出会い、さらにのめり込んでいった事によって現在の私のドゥーム嗜好が形成されたのは、言うまでもない。
BLACK SABBATH はこの Ronnie 期("Dehumanizer" も含む)の次作 "Mob Rules"(実は "Heaven&Hell" より好きかも !!) はもちろん、Ozzy Osbourneらオリジナルメンバーの初期、Tony Martin をフューチュアした様式美期、そして Ian Gillan、Glenn Hughes が歌う混沌期と、どの作品にも良い見せ場があり甲乙つけがたく気に入っている。