Impressions
複数のシンガーを起用した前作は、印象的な楽曲を配していたものの明らかに統一性を欠いた、どちらかと言えば Zeno Roth 復活のためのクッション的なアルバムで、イマイチ感情移入できない部分がもどかしかった。
そんな経緯がありつつも、本作は哀愁を発散しながらも透明感溢れる伝統的なハードロックの魅力に満ちた楽曲が満載の好アルバムに仕上がり、本来のオリジナルシンガー Michael Flexig とともに、バンド ZENO としての新たな第一歩を踏み出そうとするのが感じられる。
なぜだかギタリストとしてよりはコンポーザー/プロデューサー的な見地で語られることの多い Zeno Roth だが、ここでは最終解脱してしまった兄 Uli Roth ほどではないものの、マイナーキーの神懸かり的フレーズをこれでもかと弾きまくっていて、素晴らしいギタリストであることのアピールに成功している。
ただ、引き換えに1stの一番の魅力であった研ぎ澄まされたAOR感覚が鳴りを潜め、必要以上のギターオリエンテッドなミックスにして(なって?)しまったことが少し残念。
満足度 : 83%