Impressions
ジャーマン・ネオ=クラシカル・ハード・ロック・バンド AT VANCE の 4th アルバム。
バンドを率いる熟達のギター・プレーヤ Olaf Lenk の、ウォーム&シャープな音色による感情の封入を演出するタメも見事なハイ=テックな洗練プレイ(シーン髄一の綺麗なスウィープ/アルペジオはいつ聴いても惚れ惚れするなぁ)が煌びやかに舞う中で、軽めに転がるブルージーなコブシを伴ってパワー一辺倒ではない味を発散する Oliver Hartmann の爽快なまでの歌唱力がキャッチーで煽情的なメロディを綴る、ヘヴィ・メタルの突進力を持ったクラシカルなハード・ロックはこれまでと不変のスタイル。
だが驚いたのは、そんな楽曲/プレイはもちろんアート・ワークを含めたパッケージ全体から明らかにこれまでより一皮剥けたかの豊潤な香りが漂ってくること。これまで良く出来たアルバムをコンスタントにリリースし毎回その内容には満足しながらも、その非常に高い安定感が逆に今後の大きな飛躍を感じさせなかっただけに(前作では型にはまった閉塞感を強く発散していたし・・・)、4作目にしての突然進化への萌芽が見えてきたのにはビックリしたなぁもう。
その勝因は、アレンジに施されたこれまでに無く細心な気配りとそれが生み出すヴァラエティ感、そして迫り来るリズム隊のアタックを巧く封じ込めたプロダクションってとこかな。
先が予想できる曲展開の方式やアルバム通して聴いたときに感じるアンサンブルの画一さなど、まだまだ平凡レベルな項目も幾つか感じられたりするが、これでメンバー個々人のキャラがもうチョイ立って来たりすると、次作あたりはまた面白いものになるかもね。・・・と、そういう期待をさせるに十分な要素に溢れた一枚だ。
それにしてもボーナス・トラックとして名曲 "I Surrender"(RAINBOW バージョン)演ってるんだけど、こうして改めて聴いてみるとやっぱメチャクチャ良い曲だな。(出たな虹ヲタ/汗) で、コーラス・パートの質感まで再現したこのバージョン、近年聴いたカヴァー曲の中でも相当上位に食い込む完コピぶりはマジで愛を感じる感じる。全世界の人々の思い出がぎっしり詰まったフレーズそのものは超忠実になぞりながら、ピッキングやフィンガリングのニュアンスにしっかりと自分の色を滲ませるという Olaf Lenk の姿勢も超賛同。エンディング・ソロ部分では原曲にてフェードアウトする部分以前は忠実に再現し、それ以降の本来は無い部分で待ってましたと弾きまくる配慮なんてチョー心憎いッス。
あ、Oliver Hartmann、そのうち Yngwie Malmsteen から声掛かるんぢゃないかと読んでるんデスが・・・。合うよねぇ、きっと。