Impressions
フランス人テクニカル・ギタリスト Patrick Hemer を中心に、ドイツ人、イタリア人、スイス人のメンバーが脇を固めた EU 多国籍ハード・ロック。
試聴機のプレイ・ボタンをポチッと押して #1 "Sunset" のイントロを飾るネオ=クラシカルなギター・オーケストレーションが流れ出た数秒後、余裕のヴィブラートが耳に飛び込んできた瞬間に目にも止まらぬスピードで棚から一枚掴んでた。(笑)
そんな威力を誇るワールド・クラスのギター・プレイヤー Patrick Hemer によるマイルド&スムースなファスト・プレイがスリリングな構築美を見せるギター・パートをふんだんに盛り込んだ楽曲は、メタル・エッジの正調ハード・ロックを基本にネオ=クラシカルな疾走様式チューンからしっとりしたバラードまで取り揃えた、欧州のこの手に多いヴァラエティ型。
ちょこっとだけプログレッシヴに一ひねりしたアレンジメントと、残響の質の変化などエフェクト一つまで念入りに気を配った芸の細かさ、そしてクリアなプロダクションが授ける印象は、おフランスの格調を連想さす洗練されたものだ。
特筆すべきは Patrick 自身が兼任するヴォーカルで、鼻にかかった甘いハイ・ノートを織り交ぜながら堂々と歌い上げるメロウな歌唱は、ギタリストの片手間レベルを軽く超越した非常に魅力的なものだ。その声質/唱法 が Don Dokken を思わせるせいか、全体的にも DOKKEN 的な印象あるかも。テクニカルさとキャッチーさのバランスから、ふと FATE の "Scratch 'n Sniff" なんかも脳裏をよぎったり。
でも、ソツがないだけに、正直ちょっと器用貧乏な雰囲気もあるかもね。
満足度 : 81%