Impressions
KING DIAMOND / Abigail II : The Revenge (2002)
KING DIAMOND 名義として10作目となる本作は、15年前にリリースされた最高傑作 "Abigail" の続編というその記念すべき節目に相応しいながらもあまりにも凄まじい作戦に打って出てきた。
そこに冠された「"Abigail"」という魔力に満ちた文字列が、Metal Blade に移籍以来今日まで10年間に亘って立ち込めていた暗雲を振り払い1990年の "The Eye" を持って終了した黄金の Road Runner 在籍時代の再来の錯覚を誘うに充分な威力を持っているがために、ついつい近年の KING DIAMOND にはしてはいけない「期待」をしてしまうのも無理もないよねぇ。
そしてその内容は・・・ん?悪かなくない?・・・うん!悪くないじゃん!? ってゆーか結構良いじゃん!! ってな手応えを確実に感じることのできる意外な充実ぶり。
Andy LaRocque と彼の新しいギター・パートナーである MERCYFUL FATE でも King Diamond 大先生をサポートする名手 Mike Wead というトップ・クラスのギター・プレーヤーズのネオ=クラシカルな素地のテクニカル・プレイが構築美を見せる魅力的なギター・パートをたっぷりとフィーチュアしたミステリアスな正統ドラマティック・メタルが、全盛期末期を支えたベーシスト Hal Patino のカムバックも手伝ってここ数作とは比較にならぬほど随所でその身を思わず乗り出させる好フレーズを纏って輝こうとしている様は、なんとも嬉しい誤算。
確かに、楽曲の組み立ての妙や King Diamond 大先生自身の歌声(特に裏声ハイ・トーン)の張りは全盛期のそれからは100万光年ほど遠い距離にあるが、まぁ「"Abigail" の続編なんだからそれなりにグレートなハズだ!」という先入観&自己暗示も後押しして(笑)、この数作でのもやもやを払拭する満足度を得ることが出来た。
ただし・・・上記のように楽曲的に徐々にではあるけれども輝きを取り戻してきているだけに、その反面どうしても Mickey Dee 不在による緊張感/疾走感のなさは致命的だと残念ながら痛感してしまうんだよなぁ。(泣) KING DIAMOND が今後このまま再起の上昇カーブを描くために、Mickey Dee の復活・・・はまず無理だとしても、せめて Snowy Shaw を呼び戻してくれ! ・・・って毎回書いてる気がするッス。(苦笑)