Impressions
超ディープなデス声に余りにクサい泣きのメロディ。美デスの超名盤!
それまでは「デス=メタル」と言えば、CANNIBAL CORPSE に代表されるような痙攣型のビートにゲロゲロ声を載っけた、聴くも地獄のようなものというイメージがあった。(最近はそれ系ももう大丈夫よん V ^_^ )
フィンランドの AMORPHIS の2ndアルバムとなる本作 "Tales from the Thousand Lakes" は、そんなアマちゃんだった私に「デス声」のカッコ良さを教えてくれることとなった、まさに「金字塔」と呼ぶことの出来る重要な作品だ。
といっても今となってみれば、ここに封入されているのはシンガーが吐き出す声こそ「デス」だが、それ以外は70年代的な匂いを振りまくメロディアスで少々サイケデリックなヘヴィ・メタルで、いわゆる「デス=メタル」に属する音楽は一切出てこない。まぁ、それだからすんなりと入り込めたんだろうな。
地獄の底から響くような Tomi Koivusaari の超ディープ・ボイスに対峙する Esa Holopainen が弾き込むあまりにも切ない泣きのメロディは、ヘヴィなリフのエッジが醸し出す激情を倍加し、聴くものをなんとも言えぬ「哀しみの興奮状態」へと陥らせるのである。また本作で見逃すことが出来ないのが、オルガンでの優しい響きを演出する Kasper Martenson と、ナイスタイミングで古臭い(←誉めてます)フィルを叩き込むドラマー Jan Rechberger の極上のセンス。彼等が 70年代ROCK 風の気持ち良いグルーブを実現しているのだ。本作によってデス声の免疫を身につけた私は、以降更なる「泣き」と「激情」を求めて暗黒界をさまよう羽目になってしまうのである。
次作 "Elegy" も AMORPHIS 自らの70年代的センスを全面開花させた素晴らしいアルバムだ。