Impressions
INTO ETERNITY / Buried in Oblivion (2004)
カナダ産テクニカル・プログレッシヴ・デス・メタル・バンド INTO ETERNITY の CENTURY MEDIA からのリリースとなる 3rd アルバム。
#1 "Splintered Visions" でいきなり流れ出すネオ=クラシカルなアルペジオの端整な響きを聴いただけでこの身を乗り出しながら早くも全てを許容しそうになったが(笑)、それに留まらず、その後圧倒的な演奏力の高さを持って目まぐるしく展開されるテクニカル・メタルの洪水の波間を半ば呆然としながら漂っている最中ずっと、前記の冒頭のインパクト同様の高揚感を維持し続けることができた充実の一枚だ。
圧迫感のあるアグレッシヴなダーク・メタル・リフが不条理にのたうつその上でネオ=クラシカルな悶絶テクニカル・ギターが華麗に舞い、そこによく伸びるハイ・トーン・ヴォーカルとデス・ヴォイスを幾重にも重ねた知的でメロディックなサウンドは、NEVERMORE の陰鬱なブルータリティと THEORY IN PRACTICE の強引な構築力を手に入れた SHADOW GALLERY・・・という贅沢な喩え方をしたくなる、非常にクオリティの高い逸品。
楽器陣の演奏が生むスリルも素晴らしいが、普通に上手いメロディックなクリーン・ヴォーカルとデス・ヴォイスのコンボが見事なリード・シンガー Chris Krall を含め、5人のメンバー中4人がデス・ヴォイスを、そして2人がクリーン・ヴォイスを担当するという層の厚いヴォーカル・パートが「人の声」の威力の大きさを感じさせているのも◎。
ただ、焦点を発散させる複雑な展開がこの手の変態系バンドにありがちな捉えどころのなさを生んでいたり、いかにもスタジオで作り込みました的な人工的なエンベロープ感が、有機的な愁いというものを非常に希薄にしていたりするのも事実だけどね。
#8 "Buried in Oblivion", #10 "Morose Seclusion" らの優れたアコースティック叙情チューンでのメランコリーが、各曲それぞれに上手く練りこまれるようになってくると、さらに恐ろしい存在になってきそう。
近い将来「超 INTO ETERNITY タイプ」という言葉がそこかしこで聞かれるようになるのでは?・・・と思えるような、「突き抜けた何か」を持っていることを実感させる良いバンドですわ。(^^)
(Apr. 04, 2004)