Impressions
TRAIL OF TEARS / Free Fall into Fear (2005)
ノルウェーのデス=ゴシック・メタル・バンド TRAIL OF TEARS の 4th アルバムです。
残念ながら2代目女声シンガーだった愛すべき豆タンクちゃん Cathrine Paulsen 嬢がいつの間にか脱退しており、本作では GREEN CARNATION のシンガー Kjetil Nordhus を迎えて男性2人のデュエットという気持ち悪い編成(笑)になってしまいました。
それと同時に、そのサウンドもその方向性をややシフトさせた印象で、アクセントとして弦楽のナイーヴな響きやゲスト♀シンガーによる女声が生む耽美なメロディック・パートを配しつつも、基本路線としてはアグレッシヴでエクストリームな方向性を選択したサウンドは、もはや「ゴシック風味のメロディック・ブラック・メタル」と呼んでも差し支えないほどに完全に脱ゴシックな風合いに包まれているようです。
そんな風に音像を激化させた反面、Ronny Thorsen (vo) の迫力デス・ヴォイスと対を成して抑揚を司る Kjetil Nordhus のエモーショナルで暖かなクリーン・ヴォイスを大幅にフィーチュアした楽曲は、これまで以上にヘヴィでありながら同時にこれまで以上にメロディックになったとも思えるもので、以前とは異なる空気感が戸惑いをもたらしつつもコレはコレで魅力的に仕上がっているのもまた事実です。趣向を凝らした微サイバーなモダンな感触の心地よさが◎だと思えるのも高ポイントと言えるでしょう。
しかし、今回の女性シンガー廃止によって、デビュー作にして最高傑作である "Disclosure in Red" を「あのスタイルで」超える作品を生み出す可能性が限りなくゼロに近付いてしまったのには、やはり寂しさを禁じえませんね。。。
(Mar. 29, 2005)