超絶ネオ=クラシカルギタリスト Kelly Simonz のソロプロジェクトアルバム。ヴォーカルも彼が兼任している。
ネオ=クラシカルなインストは勿論、バロック派様式美ハードロックの王道を行くスピードチューンからキャッチーな大陸的な曲に至るヴァラエティに富んだ楽曲は、ギタリストのソロアルバムらしくかなりの割合でギターがフーチュアされているものの、演奏家としての欲よりも作曲者／シンガーとしての「歌を聴かせたい」という欲が明らかに見て取れ、その姿勢が本作を「優れたギターアルバム」から「優れた様式美HMアルバム」にしている。
とはいうものの聴き所はやはり彼のギター。わかりやすく言ってしまえば Yngwie フォロワーの一人なのだが、そのピッキング／フィンガリングの絶妙な表情付けによるエモーショナルなフィーリングは、間違いなく世界のトップランクに位置する。またシンガーとしてもハイトーンに頼らないウェットな落ち着いた歌唱に魅力を感じる。プログラミングによるドラムトラックは若干のダイナミクスの減少を感じさせはするものの、なかなか良く出来ていて楽曲に入り込むのに影響はない。
本作は綿密なマーケティングの末リリースされたらしいが、次作では Kelly 本人から自然に溢れ出る情熱を味わってみたい。