Impressions
SYMPHONY X / The Odyssey (2002)
2枚組ライヴ盤 "Live on the Edge of Forever" でライヴ・アクトとしての存在感でも度肝を抜かれた SYMPHONY X の 6th アルバム。
スタジオ・アルバムではここのところ「悪くはないが・・・」って感じのやや頭打ちを感じる平坦な印象のものが続いていたが、今回は久々にやってくれた感がある驚きの快作!
ポリリズムを絡ませながら反復するルート音近辺を彷徨うソリッドなリフ使いが独特な Michael Romeo のスーパー・プレイと、Russell Allen のヘヴィ・メタルならではの野趣を誘うワイルドな歌声での気迫に満ちたメロディック歌唱が対峙するスタイルはこれまでとなんら変わることなく、そして相変わらず既出の手法&論理に基づくアレンジや展開も頻発してはいるんだけど、オープニングの #1 "Inferno (Unleash the Fire)" に代表される「SYMPHONY X 節」と呼べそうないかにも彼ららしいスリリングな魅力が詰まった曲々や、名作 "The Divine Wings of Tragedy" 収録の名曲 "The Accolade" の続編となるクラシカルなリリシズムに溢れた #4 "Accolade II"、叙情味たっぷりに始まりその後ヘヴィにそしてクラシカルにと変幻するスケールの大きな大作 #7 "Awakenings"・・・と、すべてがこれまでとは何かが違う別次元の新しいエネルギーによって生み出されているような新鮮さに包まれている感じ。
そして本作のハイライトは、やっぱり本編ラストに鎮座する24分を超える超大作である悶絶タイトル・トラック #8 "The Odyssey"。この神話世界を描いた7つのパートからなる組曲形式の一大叙事詩のオーケストラルな味わいがもたらす「RHAPSODY 級」(笑)の高揚感/満足感は、ここまでの7曲43分がこの曲のための序章に過ぎなかったかの錯覚に陥るほど。
神、Jason Rullo のハードにヒットするリズムを前面に押し出しつつ繊細なメロディも浮き立たせた重量感あるプロダクションも評判どおり過去最高のクオリティで、今の SYMPHONY X が持つ「凄み」を見事に具体化することに成功しているなぁ。この音、まるで「先を走るものの貫禄」めいたものまで感じるもん。
このレベルの作品をリリースしてくれると、ファンとしては一安心・・・どころか純粋に超嬉しいッス。(^^)